【50】病気でまもなく休職期間満了となるが30日前に予告の義務はありますか?

【 Question】

メンタルヘルス関連の病気で、長期間休んでいる従業員がいます。当社の就業規則では、勤続5年未満は休職6ヶ月で雇用契約が終了する旨、定めています。
間もなくその期限が到来しますが、期間が満了する30日前に予告する義務がありますか。

 

【Answer】

~自動退職なら原則不要~

法律的な回答と、実務的な対応の2つに分けてご説明します。

まず、法律的な話ですが、病気休職については、
①「所定の期間が満了したときは解雇する」
という規程と、
②「所定の期間が満了したときは、自動退職とする」
という規程の2タイプがあります。

就業規則で①タイプの表現を用いている場合、「期間満了時の労働契約の終了は労働基準法第20条にいう解雇であると考えられ、同法所定の予告をしなければいけない」と解されます(昭27・7・25基収第1628号)。

一方、②タイプについては、定年等と同様に、一定の要件を満たせば、自動的に雇用契約が終了する趣旨と考えられます。ただし、「期間満了の翌日等一定の日に自動終了することを、明白に就業規則に定め明示し、かつその取扱いについて例外的な運用がなされていない等の条件を満たす必要があります(安西愈「採用から退職までの法律実務」)。「業務貢献度が高く、会社にとって必要な人材」等を対象として、過去に温情的に退職時期を延長する等の措置が行われていると、自動退職が認められないケースもあり得ます。

貴社の傷病休職制度が②タイプのもので、前記要件も満たすなら、法律的には解雇予告を必要としません。

しかし、実務的にいえば、一定の前置期間を置いて、退職処理に移行すべきでしょう。メンタルヘルス関連の病気の場合、「下手に事前通告すると、ムリを押して出勤してくる可能性がある」のは事実ですが、退職処理後に一方的に事後通告すると、かえって話をこじらせるおそれもあります。

(2012年8月)

 

 記事投稿日: 2015年07月20日
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