【44】季節変動の多い業務だが週5日勤務の週があると比例付与の対象外に?
【 Question】
当社は業務量に季節変動があり、パートの出勤日数も月によって大幅に異なります。1年間の週平均出勤日数は、4.1日程度です。比例付与の規定が適用されるのは、「週所定労働日数4日以下」の労働者だといいます。4日を若干上回る場合、比例付与の対象とするのは、違法なのでしょうか。
【Answer】
~年間216日以内なら適用対象~
比例付与の対象になるのは、週の所定労働時間が30時間未満で、かついずれかの条件を満たす労働者です(労基法第39条第3項、労基則第24条の3)。
①週の所定労働日数4日以下
②年間の所定労働日数が216日以下
①の週4日とは、年間平均の意味ではありません。週4 日勤務のパートといっても、実際は各種の休暇があるので、年間の週平均所定労働日数には3.85…日のように、小数点以下の端数が出ます。そうした端数は 考慮せず、通常の週(祝祭日や年末年始休暇等のない週)に勤務すべき日数が何日か(整数)のみをみて、判断します。
②の基準が適用されるのは、「週以外の期間によって所定労働日数が定められている」労働者に限られます。
対象となる労働者としては、2タイプが想定されます。
第1は、「月単位、年単位で所定労働日数を定めている」労働者、
第2は、「年間の所定労働日数を算定しがたい」労働者
です。
貴社の場合、「季節等によって所定労働日数が異なるなど年を単位として所定労働日数を定めている」ような状態であれば、②の基準が適用されます。
年間の所定労働日数が169日以上216日以下であれば、週の所定労働日数4日の労働者と同じ日数の年休が比例付与されます。日数は、次のとおりです。
●6ヶ月勤務・・・7日
●1年6ヶ月・・・8日
●2年6ヶ月・・・9日
●3年6ヶ月・・・10日
●4年6ヶ月・・・12日
●5年6ヶ月・・・13日
●6年6ヶ月・・・15日
年間216日の場合、週の平均所定労働日数は4.14日ということになります。週平均が4日を超えるということは、1年のうちどこかで週5日以上勤務の週が発生することになります。しかし、それでも年間216日という要件を満たす限りは、比例付与の対象になります。貴社は、この限度内に収まっていると考えられます。
年間のスケジュールがあらかじめ決まっていれば、比例付与の適用も簡単です。しかし、年間の所定労働日数をあらかじめ決め難いケースもあり得ます。解釈 例規(平16・8・27基発第082701号)では、ホームヘルパーを対象とするケースで、「たとえば、雇い入れの日から起算して6ヶ月後に付与される年 休は、過去6ヶ月の実績を2倍したものを1年の所定労働日数とみなす」という処理方法を示しています。
(2012年5月)
記事投稿日: 2015年07月18日
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