【45】改正育児介護休業法の適用猶予が終了するが事業主が講ずべき措置は?
【 Question】
平成22年施行の改正育児介護休業法では、100人以下の企業を対象とした適用猶予措置が設けられていましたが、そろそろ全面施行の時期が近づいています。
当社でも対応を進めてきましたが、最終チェックを行いたいと考えています。適用猶予とされていた事項は何か、リストで示してください。
【Answer】
~所定外労働免除等を規定化~
改正法は平成21年7月1日に公布され、同22年6月30日に施行されました。ただし、常時100人以下の労働者を雇用する事業主については、「公布から3年を超えない範囲内で、政令で定める日(平成24年6月30日)」まで、改正法の一部適用が猶予されました。
ですから、平成24年7月1日からは、すべての規模の企業で、改正法に完全対応する必要があります。適用が猶予されていた条文は、次の通りです。
①介護休暇の申出(第16条の5)
②申出があった場合の事業主の義務(第16条の6)
③介護休暇に関する不利益取扱いの禁止(第16条の7)
④所定外労働の免除の義務化(第16条の8)
⑤所定外労働の免除に関する不利益取扱いの禁止(第16条の9)
⑥所定労働時間の短縮制度の義務付け(第23条)
⑦所定労働時間の短縮制度に関する不利益取扱いの禁止(第23条の2)
⑧小学校の始期までの子を養育する労働者に関する措置(第24条)
このうち、不利益取扱いの禁止に関する条文については、事業主はその旨を理解し、不利益取扱いを行わなければ足ります。また、第24条は「努力義務」です。
結局、全面施行に合わせ、事業主が講じなければならないのは、次の措置ということになります。
★介護休暇制度を就業規則(育介休業規定)に追加
両立指針(平22・厚生労働省告示)では、「労働者が容易に取得できるようにするため、あらかじめ制度が定められるべきものである」と注意を促しています。
★所定外労働の免除を就業規則(育介休業規定)に追加
両立指針では、同様に「あらかじめ制度が導入され、規則が定められるべきものである」と規定しています。
★所定外労働の短縮制度を就業規則(育介休業規定)に追加
両立指針では、「労働者がこれらの措置を容易に受けられるようにするため、あらかじめ、当該措置の対象者の待遇に関する事項を定め、これを労働者に周知させるための措置を講じる」よう求めています。
特に、「所定労働時間の短縮制度」については、どのような仕組みとするのか、具体的に制度設計を考える必要があります。
たとえば、「所定労働時間を一律に6時間に短縮するか、労働者の選択を認めるか」「短縮した場合の、賃金、賞与、退職金の取扱いをどうするか」等について検討が必要です。
(2012年6月)
記事投稿日: 2015年07月18日
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