【36】翌日朝まで残業させた従業員に対して支払うべき割増賃金は?
【 Question】
夜間にトラブルが発生し、従業員を呼び出しました。結局、当人は、深夜10時から翌日の7時まで就労しました(途中休憩1時間)。
翌日はもともと午前8時から午後5時まで働く予定だったのですから、そちらの就労を免除すれば差し引きゼロになりますが、そういう処理で問題ないでしょうか。
【Answer】
~代休付与しても割増分残る~
元々のスケジュールでは、第1日目が8時間勤務、第2日目も8時間勤務で、2日合計で16時間就労する予定でした。
ところが、第1日目に8時間就労して帰宅した後、従業員を呼び出して8時間働かせる必要が生じました。その代わりに翌日分の8時間勤務を免除すれば、2日間の就労時間は予定通り16時間に収まります。
2日間の就労時間は同じでも、予定の時間帯を動かしたため、割増賃金の有無を考える必要があります。法違反が生じないように、キチンと処理しなければなりません。
まず、深夜に働かせたので、深夜割増の対象となります。深夜10時から翌朝5時までの労働(休憩1時間除く)に対しては、25%増しの割増賃金を支払わないといけません。
さらに、午前12時をまたいで労働させたときは、労働時間を通算して処理するのが基本ルールです。解釈例規(昭63・1・1基発第1号)では、「継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取扱い、当該勤務は始業時間の属する日の『1日』の労働とする」と述べています。
いったん帰宅後に呼び出した場合も「通算ルール」に変わりなく、昼間に既に8時間働いていれば、呼出し後8時間の労働を加算して「1日」の労働時間が合計16時間となります。ですから、深夜10時以降翌朝7時(休憩1時間除く)まですべて25%増しの割増賃金が必要となります。
結局、深夜10時から翌日5時まで50%増し、5時から7時まで25%増しの割増賃金が発生します。
(2011年11月)
記事投稿日: 2015年07月16日
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