男性の育児休業取得に関する各種制度のご案内

育児・介護休業法の改正により、今年の10月から、育児休業の2回までの分割取得と、産後パパ育休(出生時育児休業)の制度が施行されます。そこで本稿では、法改正に伴い変更される育児休業期間中の保険料免除制度などを概説し、併せて活用が期待される両立支援等助成金について、ご案内します。

1.育児休業期間中の保険料免除制度など 社会保険・雇用保険の変更について、以下に記載します(下線部が令和4年10月1日施行)。

社会保険料の免除【社会保険】

次の一定の要件を満たしていれば、育児休業期間(出生時育児休業を含む)における各月の月給・賞与に係る社会保険料が被保険者本人負担分及び事業主負担分ともに免除されます。

①その月の末日が育児休業期間中である場合

②・①に加えて、同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合、新たに保険料免除の対象とし、

・ただし、賞与に係る保険料については連続して1か月を超える育児休業を取得した場合に限り免除することとなります。

育児休業給付金【雇用保険】

育児休業(出生時育児休業を含む)を取得し、受給資格を満たしていれば、原則として休業開始時の賃金の67%(180日経過後は50%)の育児休業給付金を受けることができます。

育児休業の分割取得について

・1歳未満の子について、原則2回の育児休業まで、育児休業給付金を受けられるようになります。

・3回目以降の育児休業については、原則給付金を受けられませんが、一定の例外事由に該当する場合は、この回数制限から除外されます。

・また、育児休業の延長事由があり、かつ、夫婦交代で育児休業を取得する場合(延長交代)は、1歳~1歳6か月と1歳6か月~2歳の各期間において夫婦それぞれ1回に限り育児休業給付金が受けられます。

産後パパ育休(出生時育児休業)

子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる産後パパ育休制度が創設され、産後パパ育休を取得した場合に、出生時育児休業給付金が受けられます

①出生時育児休業期間中の就業日数が一定の水準以内であること。

②また、出生時育児休業期間中に就業して得た賃金額と出生時育児休業給付金の合計が、休業前賃金日額×休業日数の80%を超える場合は、当該超える額が出生時育児休業給付金から減額されます。

2.両立支援等助成金(子育てパパ支援助成金)の概要

本助成金は、男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備や業務体制整備を行い、実際に育児休業を取得した場合に支給されます。主な要件は以下の通りです。

男性労働者が育児休業を取得した場合(第1種)
・育児・介護休業法に規定する雇用環境整備の措置を複数実施すること。 ・育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定等を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること。 ・男性労働者が、子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得すること。
男性労働者の育児休業取得率が上昇した場合 (第2種)
・第1種の助成を受けていること。 ・育児・介護休業法に規定する雇用環境整備の措置を複数実施すること。 ・育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること。 ・男性労働者の育児休業取得率が、第1種の支給を受けてから3事業年度以内に30%以上上昇していること。 ・育児休業を取得した男性労働者が、第1種の申請に係る者の他に2名以上いること。

3.さいごに

大手ハウスメーカーが実施した調査によれば、就職活動中の20代男性の過半数が、男性の育児休業制度や取り組みの有無は「就職活動に影響する」と回答しているようです。このことからも男性の育児休業推進は、企業イメージの向上や人材確保にも寄与するものと期待されています。

法改正への対応を契機として、保険料の免除制度等や助成金を活用しながら、男性従業員が積極的に育児休業を取得できるような環境整備・風土醸成に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 記事投稿日: 2022年07月21日
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