過重労働解消キャンペーンの重点監督の実施結果について

厚生労働省は5月に、昨年実施した『過重労働解消キャンペーン』における重点監督の結果について公表しました。

この重点監督は、「長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場」や「若者の“使い捨て”が疑われた事業場」などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる8,904事業場に対して集中的に行ったものです。

その結果、違法な時間外労働等の労働基準関係法令違反が発覚し、是正に向けた指導が行われています。

1.法違反の状況

令和元年度過重労働解消キャンペーン(11月)の間に、8,904事業場に対し監督指導を実施し、6,707事業場(全体の78.3%)で労働基準法違反が認められました。

<監督指導実施事業場数>

監督指導実施事業場数 100%
法違反があった事業場数   75.3%
労働時間 40.5%
賃金不払い残業 7.3%
健康障害 20.63%

 主な違反事項で一番割合が高かったものが、「労働時間」に関するものです。これには、36協定を締結せずに時間外労働を行わせているもの、36協定で定める限度時間を超えて時間外労働を行わせているもの、及び時間外労働の上限規制に違反しているものの件数が計上されています。

 また業種別の統計においては、どの業種でも「労働時間」に関する違反が最も多かったことから、労働時間に関する違法実態は業種にかかわらず見られることが分かります。

2.主な健康障害防止に関する指導状況

①監督指導を行った事業場のうち、3,443事業場に対して、過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導が行われています。指導の内容は以下のとおりです。

<過重労働による健康障害防止のための指導状況>

指導事項 指導事業場数
面接指導等の実施 285
長時間労働による健康障害防止対策に関する調査審議の実施   343
時間外・休日労働の月45時間以内への削減 2,109
時間外・休日労働の月80時間以内への削減 1,328
面接指導等が実施できる仕組みの整備等 155
ストレスチェック制度を含むメンタルヘルス対策に関する調査審議の実施 93

上記の通り「時間外・休日労働の月45時間以内への削減」、次いで「時間外・休日労働の月80時間以内への削減」についての指導が多数を占めていることからも、依然として恒常的な長時間労働の実態が認められることが分かります。

②また、1,553事業場に対しては、労働時間の適正な把握についての指導が行われています。具体的な内容は以下のとおりです。

<労働時間の適正な把握に関する指導状況>

指導事項 指導事業場数
始業・終業時刻の確認・記録 1,097
自己申告制の説明 45
実態調査の実施 450
適正な申告の阻害要因の排除    31
管理者の責務 14
労使協議組織の活用 1

「始業・終業時刻の確認・記録」が最も多い指導事項となっていることから、多くの事業場で不適切な労働時間の管理がなされ、その結果が実態と乖離した形で、違法な長時間労働の要因となっていた可能性もあるでしょう。

3.さいごに

過重労働は、労働者の健康の維持や、仕事と家庭生活の両立を困難にし、会社にとっても貴重な労働力を失うことにつながりかねません。

 本年4月1日からは、時間外労働の上限規制が中小企業にも適用されていますので、労働基準監督署の取り締まりがより厳しくなることも予想されます。

 社内研修や、きめ細やかな周知、更には業務改善・効率化を進めることなどにより、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取り組みを進めていくことをお勧めいたします。

 記事投稿日: 2020年06月23日
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