豪雨被害と人事労務

 近年、1時間の降雨量が50mmを超える雨が頻発するなど、雨の降り方が、局地化・集中化・激甚化しています。10月に中部地方以東を襲った台風19号も激甚災害に指定され、今年の豪雨による激甚災害の指定は3例目となりました。本稿では、近年の豪雨の状況を見ながら、災害への事前・事後の対応を確認します。

1.頻発化・激甚化する水害

水害の激甚化は地球温暖化に伴う気候変動によるものとされています。そして今後も気候変動の影響により、水害の更なる頻発激甚化が懸念されています。

国土交通省の資料によると、この30年間で、時間雨量50mmを上回る大雨の発生件数は約1.4倍、80mmは約1.7倍、100mmは約1.7倍に増加しています。そして、将来的には河川整備の目標としている降雨量が約1.1倍~1.3倍に増加し、洪水の発生確率が約2倍~4倍に増加することが予測されています。

また、これまで比較的降雨の少なかった北海道・東北でも豪雨が発生するようになり、「いままでは大丈夫だった」という考えで済まさず、対策を行うことが求められてきています。

2.企業による防災対策の必要性

激甚化する災害に対し、建物の補強や堤防の整備等、いわゆるハードのみで対応することは、すでに限界が来ています。平成27年には国土交通省が“最大クラスの大雨等に対して施設で守りきるのは、財政的にも、社会環境・自然環境の面からも現実的ではない”として、「最悪の事態も想定して、個人、企業、地方公共団体、国等が、主体的に、かつ、連携して対応することが必要」との考えを示しています。

 企業には、使用する従業員の安全や健康を確保して働けるように配慮する義務(=安全配慮義務)が課せられています。もし災害に対する対策をせずに従業員を被災させたとしたら、本人や遺族から損害賠償を請求される可能性もあります。そのため、有事の際に従業員の安全を確保するためにどのように行動させるかを事前に確認しておくべきです。この点、中小企業庁『中小企業BCP(事業継続計画)ガイド』では、人的資源について、以下の事項を確認するよう求めています。

・地震や水害、火災などの緊急時に従業員の安全や健康を確保するための防災計画を作成していますか

・緊急事態が勤務時間中或いは夜間・休日に起こった場合、あなたは従業員と連絡を取り合うことができますか

・定期的に避難訓練を実施していますか

・応急救護法や心肺蘇生法の訓練を受けた従業員がいますか

3.被災事後にとり得る対応

今回のように激甚災害に指定された災害被害に対しては、国から、災害復旧事業等に係る特別措置等が行われます。措置の内容は指定された災害毎に異なるため一概にはいえませんが、令和元年台風第19号に対して、雇用・労働分野では、以下のような措置が取られることになりました。

4.さいごに

 災害対策の重要性はこれまでになく高まっています。そして、今回の水害でその重要性を認識した方も多かったのではないでしょうか。まずは、自社周辺のハザードマップを確認するなど、自社を取り巻くリスクを把握・分析しながら、取るべき災害対策について検討をしてみてはいかがでしょうか。

 記事投稿日: 2020年02月25日
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