65歳超雇用推進助成金が創設されています
平成28年6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」において、65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業等に対する支援の実施が盛り込まれました。その流れを受け、平成28年度第二次補正予算によって「65歳超雇用推進助成金」が創設されることとなりました。
高年齢者の雇用延長に関しての助成金は以前よりありましたが、この度創設された「65歳超雇用推進助成金」は受給に関する要件が緩和されており、旧来のものより比較的受給しやすい助成金となっています。今回は、本助成金の概要および受給手続きの流れ、受給要件についてご案内致します。
1.制度の概要および受給手続きの流れ
「65歳超雇用推進助成金」は、高齢者の雇用の推進を目的として、65歳以上への定年の引上げ、定年の定めの廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入のいずれかを導入した事業主に対して行う助成制度です。
平成28年10月19日以降に、労働協約または就業規則に対象となる制度を規定し、実施した場合に以下の金額が支給されます(1事業主につき1回限り)。
【制度の助成額】
- 65歳への定年引上げ…100万円
- 66歳以上への定年引上げまたは定年の定めの廃止…120万円
- 希望者全員を66~69歳まで継続雇用する制度の導入…60万円
- 希望者全員を70歳以上まで継続雇用する制度の導入…80万円
2.主な受給要件
- 雇用保険の適用事業所であること
- 平成28年10月19日以降において、労働協約または
就業規則により、次に該当する制度を実施した事業主
・旧定年年齢を上回る65歳以上への定年の引上げ
・定年の定めの廃止
・旧定年年齢および継続雇用年齢を上回る66歳以上の継続雇用制度(定年後も引き続いて雇用されることを希望する者全員を、定年後も引き続き雇用する制度)の導入 - 2の制度を規定した際に別途定める経費を要した事業主であること
※社会保険労務士や人事コンサルタント等に、就業規則の変更や制度導入に必要な費用を支払っていること - 2の制度を規定した労働協約または就業規則を整備していること
(支給申請日の前日までに労働基準監督署に届出をしていること) - 2の制度の実施日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第8条(※1)または第9条第1項(※2)の規定に違反していないこと
(※1) 60歳以上の定年を定めていること
(※2) 65歳までの安定した雇用を確保するために、①定年の引上げ、②継続雇用制度の導入、③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じていること - 支給申請日の前日において、当該事業主に1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること
- 審査に必要な書類等を整備・保管していること
3.おわりに
“超売り手市場”となり新規・中途学卒者の採用難が進む中、労働力確保のために、労働意欲のある高齢者の活躍の場を増やすこともその解決策のひとつとして挙げられています。高齢者に能力をいかんなく発揮してもらい、生産性を更に高めるためにも、本助成金を活用しながら社内体制の整備を進めてみてはいかがでしょうか。
記事投稿日: 2017年01月10日------------------
« 新年のご挨拶 | 「同一労働同一賃金ガイドライン(案)」の概要 »