【13】所定労働日数が少ない労働者の解雇予告手当の正しい計算方法は?
【 Question】
月間の就労日数10日前後のパート従業員を、予告手当を支払ったうえで解雇することになりました。しかし、通常の計算方法に基づく平均賃金、最低保障に基づく平均賃金、両方を計算してみましたが、いずれも適切な額とは思えません。正しい平均賃金の計算方法は、どちらなのでしょうか。
【Answer】
~最低保障が適用される~
解雇予告手当の額は、「平均賃金の30日分以上」と定められています(労基法第20条)。日給1万円で月10日働いたとして、予告手当がいくらになるか試算してみましょう。
平均賃金は、原則として、過去3ヵ月の賃金の総額を歴日数で除して計算します。3ヵ月の歴日数が91日だったとすると、
10万円 × 3ヵ月 ÷ 91日 = 3,296.70 円
しかし、平均賃金は「生活日当たりの賃金を算定する」(労基法コンメンタール)趣旨なので、日給制、時間給制、請負制の労働者を対象として、最低保障の規定が設けられています。平均賃金の額は、次の計算式により算出された額を下回ることができません。
最低保障額 = 3ヵ月の賃金総額 ÷ 3ヵ月の労働日数 × 0.6
この式をお尋ねの方に当てはめると、
10万円 × 3ヵ月 ÷ 30日 × 0.6 = 6,000 円
原則の計算式に基づく金額(3,296.70円)は、最低保障額(6,000円)を下回っているので、この方の平均賃金は最低保障額を基に決定されます。
日給が1万円なのに平均賃金が3,296.70円というのは、確かに低すぎる気がします。最低保障による修正額、6,000円というのは常識の線に近いといってよいでしょう。
しかし、平均賃金で解雇予告を計算すると、
6,000円 × 30日 = 180,000 円
になります。月収10万円の人に解雇予告手当18万円を支払うのは多すぎる印象がありますが、法で定める計算方法なので仕方がありません。
(2010年8月)
記事投稿日: 2015年07月08日
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