年次有給休暇の新ルール
先の国会で成立した働き方改革関連法が来年4月から順次施行されます。本稿では、その中の一つで、来年4月1日から大企業・中小企業に関わらず適用される年次有給休暇の新ルール「時季指定義務」について概説します。
1.年次有給休暇取得の現状
年次有給休暇は、労働基準法により、労働者の心身のリフレッシュを図ることを目的として、一定の要件を満たす労働者に付与される権利です。これまでも労使協定による計画付与や時間単位での取得、年次有給休暇取得を理由とする不利益取扱の禁止など、休暇を取りやすくする制度はありましたが、職場への配慮やためらいが実際の取得を阻害しており、近年の取得率は5割を下回るなど、年次有給休暇の取得促進が課題となっています。
2.新ルールの具体的な内容
年次有給休暇は次頁の表のとおり、継続勤務年数に応じた日数が労働者に付与されますが、新ルールでは“年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、5日については、使用者が時季を指定して取得させる”ことが義務付けられます。具体的には、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、使用者が時季を指定して与える必要があります。対象となる「労働者」にはパートタイマーなども含まれます。
その他、法定の基準日と異なる制度を取り入れている場合については、それぞれ取扱いが異なりますので、
詳細については、厚生労働省リーフレットなどを併せてご確認ください。
(参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000350327.pdf)
3.おわりに
年次有給休暇の取得率が低調な中でスタートする今回の新ルールは、会社としては、単に労働者に年次有給休暇を取得させるだけでなく、年次有給休暇の付与状況について、労働者毎に「時季」「日数」「基準日」を明らかにした書類を作成・保存する義務も課せられるため、事務負担も増えそうです。そのようなことから、施行直前になって慌てることが無いよう、現時点から会社としての対応方法を検討しておくと良いでしょう。
記事投稿日: 2018年11月26日------------------
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