労働者募集ルールの変更

求職者が安心して求職活動を行うことができる環境の整備と、マッチング機能の質の向上を目的とした改正職業安定法が10月から施行されました。求人企業向けとしては、「求人などに関する情報の的確な表示義務化」や「個人情報の取り扱いルールの整備」が主な改正内容とされています。

本稿では、求人票の記載内容と実際の労働条件が相違していることに関する厚生労働省の調査結果をご案内するとともに、労働者募集ルールに関する改正内容を概説します。

1.実際の労働条件との相違に係る申出件数等の実態

 厚生労働省では、ハローワークにおける求人票の記載内容と、実際の労働条件との相違についての申出等の件数を毎年公表しています。令和2年度以前5年間における申出等の件数推移は下表の通りです。

 直近の令和2年度は4,211件で、前年度5,778件に比べ減少しています。新規求人件数の減少割合より大きく減ってはおりますが、いまだ相違している企業が一定数存在していることが確認できます。

 また同調査によれば、内容別件数では、「賃金に関すること」が1,114件(27%)で、全体の3割弱を占める結果となっています。

例えば、求人票は「基本給22万円」と記載されていたにもかかわらず、実際の労働条件は「基本給18万円+○○手当4万円」であり、その手当が固定残業代であるというものがその典型とされています。

2.変更となる労働者募集のルール

1.求人等に関する情報の的確な表示の義務化
①求人情報や②自社に関する情報の的確な表示が義務付けられます
・虚偽の表示・誤解を生じさせる表示はしてはなりません
・求人情報を正確・最新の内容に保たなければなりません

※正確かつ最新の内容に保つ義務…以下の措置を行うなど、求人情報を正確・最新の内容に保たなければなりません
・募集を終了・内容変更したら、速やかに求人情報の提供を終了・内容を変更する
・求人メディア等の募集情報等提供事業者を活用している場合は、募集の終了や内容変更を反映するよう依頼する
・いつの時点の求人情報かを明らかにする
・求人メディア等の募集情報等提供事業者から、求人情報の訂正・変更を依頼された場合には、速やかに対応する

2.個人情報の取り扱いに関するルールの整備

求職者の個人情報を収集する際には、求職者等が一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に、個人情報を収集・使用・保管する業務の目的を、ウェブサイトに掲載するなどして、明らかにしなくてはなりません

3.さいごに
今回の法改正では「虚偽の表示等を繰り返すような悪質な事業者に対しては立ち入り検査や助言、指導、改善命令等の措置を躊躇なく実施すること」との附帯決議がなされており、求職者保護について今後実効性を高めていく方向性であることが見て取れます。

過去の求人票のままで、現状と相違している内容が掲載されていないかなども含めて、求職者が安心して応募できるようにするという観点から、自社の採用活動全体を改めて見直してみてはいかがでしょうか。

 記事投稿日: 2022年09月26日
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