厚生労働省若手チーム緊急提言について

isogashii_man 今年の8月に厚生労働省の若手チームが『業務改善に係る緊急提言』を厚生労働大臣に提出したことが話題となりました。提言からは、過酷な環境で擦り減らされる職員の姿と、それに対する危機感がみてとれます。 今回は、その提言の内容をご紹介するとともに、課題認識や対策方法の中に、自社で活用できるものはないか、確認してみましょう。

  1. 職員の悲鳴
    本提言の出発点として行ったアンケートやヒアリングで、在職者・退職者から以下のような言葉が寄せられました。
    ・厚生労働省に入省して、生きながら人生の墓場に入ったとずっと思っている(大臣官房、係長級)
    ・毎日いつ辞めようかと考えている。毎日終電を超えていた日は、毎日死にたいと思った (保険局、係長級)
    ・業務量をコントロールできない、将来の多忙度が予測できないという働き方は、体力や精神的にも継続することはできない…(退職者)
     このアンケートで、65%の職員が自らの業務量について「非常に多い」「多い」と回答しています。「何が業務量を増やしているか」という問いに対しては、7割以上の職員が、「厚生労働省で作業量・スケジュールを決められない他律的業務が多い(国会業務、内閣官房・内閣府からの作業依頼など)」と回答しています。  その他、劣悪なオフィス環境(例:職場の冷房がほとんど効かない、整理されていない書類の山、蛍光灯を間引いた廊下等)も、個人のモチベーションや組織のパフォーマンスを下げていることが指摘されています。  職員アンケートにおいても、「厚生労働省が職員を大事にする職場である」と回答した職員の割合は8%に留まり、厚生労働省の職場が、右図のような負のスパイラルから抜け出せない状況であることが伺えます。
  2. 改革の目指す方向と、具体的な提言内容
    提言では、改革に向けた以下の対策を示しています。
    ①生産性の徹底的な向上のための業務改善
    ■業務の集約化、自動化、電子化、外注等
    ■国会業務、広報業務等の改革
    ■ICT技術の駆使・改善
    ②意欲と能力を最大限発揮できる人事制度
    ■採用、人員配置、時間管理、人事評価、人事異動、人事配慮、研修、人事事務・給与等の改善
    ■これらの改革が可能な人事課体制の抜本的強化
    ③「暑い、狭い、暗い、汚い」オフィス環境の改善
    ■生産性・創造性向上のためのオフィス・レイアウト
    ■打ち合わせスペース・会議室の確保・手続簡素化
    ■エアコン稼働時間や温度調整の柔軟化・手続簡素化
     ①の各施策は、現業務や非効率な業務のすすめ方が、専門性が求められる本来の業務を妨げていることに対応するものです。提言の中には、資料審査のペーパーレス化や議事録の自動文字起こし、Skype等を活用した議員対応等、先進的な取り組みも含まれています。また、業務が他律的である一因となっている国会対応についても、『質問通告の2日前ルールの徹底』や『委員会での出入りの柔軟化』等の対策を、政治レベルで申し入れるとしています。
     ②は、人事政策のマネジメントが慢性的に機能不全であることに対応するもので、厚生労働省内での人事に関する事柄が殆どですが、『出勤簿・休暇簿・出退勤報告書・在庁時間管理簿の一元化と押印の廃止』や『現場経験のある労働基準監督官による、本省各部局への抜き打ちの模擬指導』といったユニークな取り組みも提案されています。
    ③で挙げられている問題点においては、「狭い」「汚い」に対応するため、厚生労働省の若手有志から成る『オフィス環境改善チーム』が、『徹底的な書類の整理・PDF化』『書棚を削減しスペース創出』といったオフィス環境改善を実施し、将来的には『フリーアドレス(※)導入』を検討するとしています。
    ※固定の席を決めずに、自由に席を選ぶことができる制度。
  3. さいごに
     今回ご紹介したのは、厚生労働省の問題点や対策の方向性についてですが、人員不足や他律的な業務による過剰な労働、紙媒体を前提とした業務ルーチン等については、一般の会社であっても共通する課題ではないかと思われます。
     『業務改善』は時間と労力を要しますが、これからの時代の有り様を踏まえると、避けては通れない道であるといえます。「まず、何をすべきか」とお悩みの場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。

 記事投稿日: 2019年11月25日
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