日本の女性活躍の現状

business_woman_bannou 本年2月、厚生労働省の『平成29年賃金構造基本統計調査結果の概況』で、女性の賃金は過去最高で、男女間賃金格差が過去最小となったことが公表されました。一方、昨年11月公表の世界経済フォーラム『ジェンダーギャップ指数2017』は、日本の男女格差が調査対象144か国中114位で、昨年から3つ順位を落としたと伝えています。本稿では、調査結果の賃金格差を紐解きながら、日本の女性活躍の現状についてお伝えいたします。

1.縮小すれども、なお大きな賃金格差

 本調査結果の概況は、10人以上の常用労働者を雇用する全国5万弱の事業所について集計したもので、昨年6月の所定内給与額(残業・休日手当などを除く)を対象としています。  その内、賃金格差を見てみると下表(表1)のとおり、男女の賃金格差は順調に縮小していますが、それでも3割近いギャップが存在しています。

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2.低水準な女性管理職登用と、その理由

 厚生労働省『男女間の賃金格差解消のためのガイドライン』では、“平均勤続年数”や“管理職比率”に差異があることが賃金格差の主要因としています。特に、女性の管理職登用の面で見ると、日本の男女平等に向けた取り組みの中でも、とくに進捗の鈍い分野といえ、国際比較で見ても低水準となっていることが分かります(表2)。

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 前述の通り、国際的な状況をみるに、やはり日本の女性の活躍は遅れていると言えるでしょう。女性管理職が少ないことについて、会社と女性それぞれの意見をまとめると、以下のような理由があるようです。

女性管理職が少ない理由 (会社の意見)

●現時点では必要な判断能力等を有する女性がいない
●勤続年数が短く、管理職になるまでに退職する
●有望な女性はいるが在職年数等を満たしていない
●女性が希望しない
●家庭責任が多く、責任ある仕事に就けられない (厚生労働省『雇用均等基本調査』(平成25年)より抜粋)

昇進を望まない理由 (女性の意見・男女のギャップが大きいものを掲載)

●仕事と家庭の両立が困難
●自分の雇用管理区分では昇進可能性がない
●周りに同性の管理職がいない
(独立行政法人労働政策研究・研修機構「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査結果(2)」(平成26年)より抜粋)

3.おわりに

このような理由を受けて、国では仕事と家庭の両立支援に加えて、ロールモデルの確立や、能力に応じた登用の機会の拡大等が必要であるとして、様々な施策が検討されています。また、企業としては労働力の確保が求められている一方、労働者としては働き方に対する考え方の変化などがあり、仕事と家庭の両立支援等の状況は旧来とは変わりつつあります。 両立支援体制や女性の管理職登用制度が整っているということは、優秀な労働力を確保し、また、新たに雇用するための一つの強みになります。 本稿が、「自社で何ができるか」「どのように推進すればより良いものになるか」等を検討していただくきっかけとなれば幸いです。

 記事投稿日: 2018年05月24日
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