マタニティー・ハラスメントの現状と対策について

 女性の活躍推進については、平成15年の男女共同参画推進本部において、国際的な目標値と同水準として「2020年(平成32年)までに指導的地位に占める女性の比率を30%に増やす」目標が掲げられました。

しかし、平成27年版の男女共同参画白書によると現時点での企業の女性管理職比率はわずか11%であり、目標達成には程遠く、諸外国に比べても低い水準となっています。 日本において女性のさらなる社会進出を進める上で、障害になっている問題のひとつにマタニティー・ハラスメント(以下、マタハラ)があります。

マタハラの問題は、平成26年に裁判で最高裁まで争われたことで注目され、その年の流行語大賞にノミネートされるなど、世間一般的に認知されるようになりました。

就業者および管理的職業従事者に占める女性割合

就業者および管理的職業従事者に占める女性割合

そのような流れを受けて、昨年、厚生労働省では初めてとなる「妊娠等を理由とする不利益取扱いに関する調査」を実施し、11月にその内容を公表しました。 その結果、正社員の21.8%、派遣社員では48.7%の女性社員がマタハラを経験したとの調査結果が明らかになりました。

雇用形態ごとの妊娠等を理由とする不利益取扱い経験

雇用形態ごとの妊娠等を理由とする不利益取扱い経験

また、同調査では、マタハラへの会社の対応として何が効果的かについて合わせて公表されました。それによると育児休業の規定の明文化、管理職をはじめ職場全体に対する研修や周知等といった取り組みを行うと不利益取扱い経験率が大きく下がることが分かりました。

政府でもマタハラの問題を減らすため法律の整備を進めています。平成27年に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」が制定されましたが、今年の1月31日には、男女雇用機会均等法や育児介護休業法の改正案が、国会に提出されました。同改正案では、労働者が妊娠・出産・育児・介護を理由に休業を利用することで就業環境が害されることがないように事 業主は必要な措置を講じることを義務としています。

さらに、育児・介護休業法では、有期契約労働者が育児休業を取得しやすくするために適用要件を緩和したり、子の看護休暇を1日未満の単位で取得することができるようにする案などが示されています。

その他の関連法案としては、雇用保険法の改正案があります。育児休業および介護休業を取得すると雇用保険から給付金が支給されますが、今回の改正でその適用範囲の拡大と給付金の上限額を上げるなどの案が示されています。

この機会に法改正を見据えて、調査結果にあるような制度の可視化や周知・意識付けなどの取り組みについて、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

 記事投稿日: 2016年04月11日
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