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先日、定期健康診断を実施したところ、成人病の疑いがある従業員が何人かいます。会社として、再検査(二時健康診断)に行きなさい」と命令できるのでしょうか。
受診を命令する場合、会社は有給で休暇を与える義務があるのでしょうか。
〜ガイドラインで賃金補償推奨〜
労災保険法では、定期健診等で一定項目に異常の所見のあった労働者と対象として、二次健康診断給付(無料で健診受給)を支給しています。二次健康診断給付の請求者は、労働者本人です。
しかし、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(平8・公示第1号)」では、
「事業者は、健診結果に基づき、二次健康診断の対象となる労働者を把握し、受診を勧奨するとともに、結果を事業者に提出するよう働きかけることが適当」
と述べています。最終的に再検査に行くか行かないかは従業員本人が決めますが、会社が「勧奨する」のは望ましいことです。
健診に要した時間の賃金の支払いについては、「労使協議して定めるべきものであるが、脳・心疾患のおそれのある労働者の健康確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、事業主が支払うことが望ましい」とされています(平13・12・30基発第233号)。
受診を「勧奨」するのですから、従業員の同意を得るため、「所定労働時間中に病院に行ってよい。賃金カットはしない」と説明するのがベターでしょう。
健診費用そのものは、前記のとおり、労災保険から給付されます。支給要件が細かに定められているので、受診を勧奨する従業員がその条件を満たすか否か、事前にキチンと確認し、必要な手続きをサポートしてあげるべきでしょう。
二次健康診断等給付の対象となるのは、定期健診等で次の4項目すべて有所見とされた場合です。
@血 圧
A血中脂質
B血 糖
C腹囲またはBMI
ただし、@からCまですべて有所見でなくても、産業医が必要と認めれば、その意見が優先されます。
注意が必要なのは、既に脳・心疾患の症状を有する人については、給付の対象にならない点です。血圧・血糖値が高くて、「成人病予備軍」とみなされる人について、予防の見地から労災給付が支給されるものです。
給付を希望する労働者は、所定の請求書に事業主の証明を受けたうえで、定期健診等の結果を証明する事ができる書類を添付し、病院経由で都道府県労働局長に提出します。会社から、既に証明を済ませた請求書を労働者に手渡すのも、勧奨の一つの方法です。
二次健康診断等給付は、健診給付病院(都道府県労働局長の指定を受けた病院等)で受けることができます。
指定を受けた病院は標札を掲げています(労災則第11条の3)が、事前にインターネット等で調べておくとよいでしょう。
(2012年4月)
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