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人出が足りないとき、現場では無資格者にフォークリフトを運転させることもあるようです。
無資格運転が発覚した場合、どのような罰則が科されるのでしょうか。管理不行き届きということで社長本人が、罪を問われることもあるのでしょうか。
〜行為者として対象に〜
フォークリフトは、商品・製品・原材料等の移動、保管作業の現場で広く使われています。運転業務には、特別教育修了者・技能講習修了者など一定の要件を満たす人を従事させる必要があります。
積載荷重1トン未満の場合、「事業者は、特別教育を行わなければならない」(安衛法第59条第3項)、1トン以上の場合、「事業者は、技能講習修了者など有資格者でなければ業務に就かせてはならない」(同第61条第1項)と定められています。
いずれの場合も、違反者には「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」が課されます(同第119条)。安衛法第59条第3項(特別教育の実施)、同第61条第1項(有資格者の選任)ともに、法文上、義務の履行者は「事業者」となっています。
事業者については、安衛法第2条第3号で「事業を行う者で、労働者を使用するものをいう」と定義されています。具体的には、個人企業にあっては事業主個人、会社その他の法人の場合には法人そのものを指すと解されています。
そうすると、法人企業で違反が発生したときは、直接的に責任を追及されるのは社長個人ではなく、法人であるという理屈になります。
しかし、安衛法には、別にいわゆる「両罰規程」が置かれています。第122条では、「法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用者その他の従業者が違反行為をしたときは、その法人または人に対しても本条の罰金刑を科する」と定めています。
「法人の代表者または法人若しくは人の代理人、使用者その他の従業者」をまとめて、違法行為の「行為者」と呼んでいます。本条の解釈は実をいうと難問なのですが、簡単にいうと、違反があったときは法人または人「も」罰金刑の対象となるということは、当然、行為者本人も罰せられるという意味です。
法人の代表者(社長)イコール行為者であれば、社長を罰すると同時に法人にも罰金刑を科します。法人の従業員が直接の行為者であれば、従業員と法人が罰則の対象となります。さらに、従業員の不法行為について社長の監督が不十分という事情が認められれば、社長自身も行為者とみなされます。
安衛法の各種義務を守るためには、機械設備・教育等多大な費用の出費が必要な場合が少なくありません。このため、安衛法の立法過程では、形式的な行為者だけではなく、事業場の決定権を有する経営トップの責任を厳しく追及する方針が採られました。
ですから、違反発生時には、会社・社長・行為者(監督者等)の連名で送検がなされるケースが少なくありません。
(2011年12月)
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