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若手従業員が、ある日を境に、出勤しなくなりました。電話、メールともに、連絡がとれません。不審に思っていると、知人と名乗る人間が現れて、「委任状をもっているので、自分に賃金を支払ってほしい」といいます。どのように対応すべきでしょうか。
〜委任は無効で拒否が相当〜
賃金の支払いには次の5原則が適用されます(労基法第24条)。
@通貨払
A直接払
B全額払
C毎月払
D一定期日払
このうち、直接払とは、「労働者本人に直接支払う」という意味です。労働者に現金を手渡すのが本来のパターンです。
金銭の債権取り立てを他人に委任するのは、一般的には法律で認められています。受任者は、「受け取った金銭その他のものを委任者に引き渡す」義務を負います(民法第646条)。しかし、労基法では、労働者本人以外への賃金支払いを禁止しています。
解釈例規では、「労働者の親権者その他の法定代理人に支払うことと、労働者の委任を受けた任意代理人に支払うことは、いずれも労基法第24条違反となり、労働者が第三者に賃金受領権限を与えようとする委任、代理等の法律行為は、無効である」(昭63・3・14基発第150号)と述べています。
ですから、キチンとした形式の委任状を持った人間が現れても、委任行為自体が無効なのですから、賃金の支払いを拒否できます。
直接払に違反すると、30万円以下の罰金に処せられます。本人が現れた際に二重に賃金を支払えば、罰則は免れますが、そんなバカバカしい対応をする事業主はいないでしょう。
直接払いの例外に、「使者への支払い」があります。妻子等については本人に支払うのと同様の効果を生じるので、差し支えないとされています。しかし、「知人」というだけでは使者とは認められないでしょう。
(2011年9月)
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