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女性従業員より育児休業の申出がありましたが、経験を要する仕事で、代替者がなかなか見つかりません。話合いの結果、従業員側から、「在宅勤務でよいのなら、休業にはこだわらない」という回答を得ました。
在宅勤務の場合、時間外や休日労働の割増賃金をどのように計算して、支払えばよいのでしょうか。
〜「事業場外みなし」を適用可〜
従業員が在宅勤務する場合、基本的には、労基法、最賃法、安衛法、労災保険法等の適用対象となります(平20・7・28基発第0728001号)。ですから、労基法に基づく時間外・深夜・休日労働の割増賃金の支払い義務が生じます。
しかし、従業員が自宅で1人で就労する場合、事業者としてその労働時間の把握は困難と言わざるを得ません。このため、一定の条件を満たす場合には、外勤従業員と同様に「事業場外労働のみなし労働時間制」の適用が認められています。具体的な条件は、次の通りです(平16・3・5基発第0305001号)。
@業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること
A情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態に置くこととされていないこと
B業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと
@については、就業場所が会社でなくても、自宅近くのサテライト・オフィス等に出向いて仕事する場合には、当然、事業場外労働のみなし制の対象には含まれません。自宅を就業場所とするケースでも、「仕事を専用とする個室を確保する等、勤務時間帯と日常生活時間帯が混在することがないような措置を講ずる旨の取り決め」等をすると、もはや「労働時間の把握が困難」とはみなされなくなるので注意が必要です。
Aの「常時通信可能な状態」とは、「使用者が電子メール等により随時具体的指示を行うことが可能であり、かつ、使用者から具体的な指示があった場合に労働者がそれに即応しなければならない状態」という意味です。常時、在宅勤務者のパソコン等がインターネット等の回線に接続されていても、それをもって直ちに「常時通信可能な状態にある」と判断するわけではありません。しかし、会社の上司等が「○日の午前何時にメールを送ったのに、なぜすぐに返事しなかったのか」などと詰問するのは禁物です。電話による督促なども、厳しく戒めるべきです。
みなし労働時間制の適用が認められれば、1日について@所定労働時間、A業務遂行に必要な時間、B労使協定で定める時間のいずれかを適用し、賃金計算すれば足ります。日々を対象として、実際の労働時間を把握する必要はありません。
しかし、「休日に関する規定は排除されない」(昭63・1・1基発1号)ので、在宅勤務者が休日に働く場合には、事前に上司等の許可を得るよう指導しておく必要があります。
(2011年8月)
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