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2週間を限って雇用した従業員が、契約最終日の業務中にケガをしました。翌日以降、雇用する予定はなかったのですから、当社として賃金を保障する義務もないはずです。休業補償の必要もないと考えますが、いかがでしょうか。
〜退職しても権利失わない〜
従業員が業務上の事故で、傷病を負った場合、事業主は最初の3日間について賃金の60%の休業補償を支払う義務を負います(労基法第78条)。4日目以降は、労災保険から休業補償給付が支給されます。
期間契約の最終日にケガをされたということですが、まず解雇制限の問題から考えてみましょう。労基法第19条では、「業務上の疾病で休業する期間およびその30日間は解雇してはならない」と定めています。従業員がケガをしたことで、雇止めができなくなるのでしょうか。
この点について、行政解釈(昭23・1・16基発第56号)では、「業務上の傷病により休業中の者も期間満了とともに労働契約は終了するのであって、解雇制限の適用はない」と述べています。
予定通り雇止めとなれば、その従業員は翌日以降、収入を得ることができなかったはずです。そこで、「賃金補償義務がないのだから、休業補償する必要もない」という発想が出てきたものだと思われます。
しかし、労基法第83条では、「補償を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない」と規程しています。ここでいう退職には、「解雇だけでなく任意退職や契約期間満了による退職等も含まれる」(労基法コンメンタール)と解されています。ですから、貴社は休業補償の支払い義務を免れません。
同様の規程は労災保険にもあり、「保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない」(第12条の5)と定められています。従業員が休業補償給付等を申請する際には、速やかに必要な証明を行い、申請を助力すべきです。
(2011年7月)
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