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合理化推進のため、定員を1人、減らした部署があります。しかし、実際には欠員の穴を埋めるのは難しく、当面、派遣労働者を使いたいと考えています。しかし、労組の方から、「元のとおり、正社員を雇用すべき」と横やりが入り、困っています。派遣労働者を使用すると、法律上、問題があるのでしょうか。
〜理由を説明し理解得るべき〜
会社と労組の交渉事項(団交事項)には、大きく分けて義務(命令)的事項と任意的事項の2種類があります。「労働条件その他の待遇や労使関係に運営に関する事項で、使用者に処分可能なもの」が、義務的事項に含まれます。
お尋ねのケースでは、「派遣社員と正社員のいずれを使用すべきか」が問題となっています。派遣社員は派遣元の社員ですから、会社が雇用する労働者には該当しません。会社側としては、
「社員の採用に関しては団体交渉の申出を受けるけれど、派遣社員を受け入れるか否かは、会社の経営専権事項に属する」
といって、労組の申出を突っぱねたいところです。
しかし、労組側からいえば、派遣社員の使用により、正社員1人を雇用する機会が失われることになります。元々、正社員が配置されていたポストであれば、労組としても黙認するわけにはいかないでしょう。
広く、「組合員に関する労働条件その他の待遇」に関わる問題に含まれるので、義務的事項と判断される可能性が高いといえます。労組側から、正式に交渉の申出があれば、誠意を尽くして話しあうべきでしょう。
労組法関係以外では、派遣法にも関連規定があるので、注意が必要です。派遣元指針(平11・労働省告示第138号)では、「雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストに、解雇後3ヵ月以内に派遣労働者を受け入れる場合には、派遣先労働者の理解が得られるよう努める」よう要請しています(第2の17)。具体的に講ずる措置としては、次の通り例示されています。
・必要最小限度の派遣期間を定める
・派遣先労働者に対し派遣を受け入れる理由を説明する
この規定の趣旨について、「派遣業務取扱要領」では、「安易な雇用調整の結果、派遣を受け入れるということは許されるものではなく、解雇後3ヵ月以内かどうかに関わりなく、慎重に対応することが適当」と解説しています。
派遣受入期間に制限のある業務について1年を超える期間、派遣社員を使用しようとするときは、「過半数労組(ないときは過半数代表者)の『意見を聴く』」義務が課せられています(派遣法第40条の2第4項)が、「雇用調整ポストへの派遣受入」に関しては、「労働者に理由を説明する」という表現が採られています。
しかし、実務的にいえば、過半数労組等が存在する場合には、労組を相手としてキチンと説明する機会を設けるのがベターです。
(2011年2月)
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