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現在、社内機密の管理体制を見直し中です。本人だけでなく、家族経由で秘密が漏れるおそれも否定できません。「家族がどこの会社に勤めているか」、もっと正確にいえば、「同業他者に勤めていないか」、従業員に申告させるのは可能でしょうか。
〜秘密保持措置の強化で対応を〜
家族の地位・職業等は、従業員の個人情報の中でも、センシティブな(機密に触れる)部類に含まれます。採用時については、「家族の職業などを調査することは、応募者の適正・能力に関係のない事柄を採用基準とすることとなり、不適切」であるため、企業が実施しないようハローワーク等が指導しています。
個人情報保護法では、「個人情報を取り扱うにあたって、その利用の目的をできる限り特定しなければならない」(第15条)と定めています。一般に利用目的として考えられるのは、「家族手当等の決定、社会保険関係、災害補償、育児・介護休業法の適用」などでしょう。
手当の申請等の場合、必要書類の提出を求めますが、「住民票の写しは、画一的に提出を求めないようにし、それが必要になった時点(たとえば、慶弔見舞金が支給されるような場合で、その事実の確認を要するとき等)で、その使用目的を十分に説明の上提示を求め、確認後速やかに本人に返却するよう指導すべき」(平9・2・21基発第105号)という解釈例規が示されています。
機密保持のためという大義名分があれば、会社が家族の職業等に口をはさむ正当な理由となるでしょうか。夫が同業他社に勤めているという理由で、妻を試用期間中に解雇した判例が存在します(ケイズ事件、大阪地判平16・3・11)。判決文では、「仮に秘密が漏えいする恐れがあるのであれば、秘密保持のための適宜の措置をとればいいのであって、解雇の合理的理由とは認められない」と述べています。貴社でも機密保持対策(誓約書の提出等)を強化するのが本筋で、家族情報の提出強要は避けるべきでしょう。
(2010年5月)
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