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従業員から障害年金のことで次のような相談を受けました。
「1つの障害だけでは受給権がなくても、2つの障害を合わせれば年金の対象になる可能性があるという話を聞きました、私も申請したいんですが、過去にさかのぼって年金をもらえますか?」
従業員の言うような仕組みが本当にあるのでしょうか。
〜請求の翌月分から支給〜
過去に年金を受けたことがないのですから、お尋ねにあるのは「基準傷病による障害」のケースと考えられます。
障害基礎年金・厚生年金は、傷病が治癒した日、または1年6ヵ月経過日のうち早いほうの日(障害認定日といいます)に支給の要否を判断します。障害等級2級以上に該当しなければ、その時点で障害基礎年金・厚生年金は支給されません。
しかし、その後、65歳に達するまでの間に別の傷病(基準傷病といいます)により障害が残ったとします。基準傷病の障害認定日時点で、基準傷病による障害と合わせて障害等級2級以上に該当すれば、年金を受給できます。
さらに、障害認定日時点では2級以上と認められなくても、それ以後65歳に達するまでの間に2級以上に該当すれば、年金の受給権を得られます。障害基礎年金(国民年金法第30条の3)、障害厚生年金(厚年法第47条の3)、ともに対象となります。
ただし、この場合、障害認定日以降、いつ2等級以上に該当するに至ったか、必ずしも明らかでないケースもあります。
このため、障害基礎・厚生年金は「請求月の翌月」から支給を開始するというルールが設けられています。年金は「支給すべき事由が生じた月の翌月から支給」する(厚年法第36条)のが原則ですが、障害厚生年金は「第36条の規定にかかわらず、請求があった月の翌月から支給を始めるものとする」(第47条の3第3項)と定められていて、遡って支給されることはありません。
(2010年2月)
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