育児・介護休業制度の見直しと 新設助成金について

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法改正により、平成29年1月から育児休業・介護休業に関して、以下の通り制度の見直しが行われることとなっています。

●育児休業

1. 育児休業等の対象となる子の範囲の拡大
 (特別養子縁組の監護期間にある子等)
2. 育児休業の申出ができる有期契約労働者の緩和
 (1歳までの継続雇用要件等)
3. 子の看護休暇の半日単位取得

 ●介護休業

1. 介護休業の分割取得(3回まで、計93日)
2. 所定外労働の免除制度の創設
3. 介護休暇の半日単位の取得
4. 介護のための所定労働時間の短縮措置等

  この改正は労働者が育児・介護により退職することなく働き続けられることを目的とした法制度上の整備であり、それを補完するように本年度から育児・介護に係る助成金が新設されています。
  以下に、新たな助成金を2つご紹介いたします。

 

●出生時両立支援助成金

国では2020年までに男性の育児休業取得率を13%とする目標を掲げていますが、現状では2.3%にとどまっています(厚生労働省 平成26年度「雇用均等基本調査」)。このような背景のもとで、男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りの為の取組を行い、男性労働者に育児休業を取得させた事業主に対して支給される助成金です。

男性労働者に子の出生後8週間以内に開始する14日以上(中小企業は5日以上)の育児休業を取得させた場合に支給の対象となります。
【支給額】
中小企業 取組および育休1人目:60万円 2人目以降:15万円
大 企 業 取組および育休1人目:30万円 2人目以降:15万円
※支給対象となるのは、1年度につき1人まで。

●介護支援取組助成金
高齢化社会の進展に伴い、親の介護などで離職を余儀なくされている労働者が年間10万人にのぼると言われている中で、介護休業の取得率は3.2%、介護休暇の取得率は2.3%となっています(総務省 平成24年「就業構造基本調査」)。
このような背景のもとで、下図「介護離職を予防するための両立支援対応モデル」(厚生労働省)に基づいて、仕事と介護の両立に関する取組を行い、その推進を行った事業主に対して支給される助成金です。
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厚生労働省が指定する資料に基づき、以下の全ての取組を行った場合に支給の対象となります。

  1. 従業員の仕事と介護の両立に関する実態把握
    (社内アンケート)
  2. 介護に直面する前の従業員への支援
    (社内研修の実施、リーフレットの配布)
  3. 介護に直面した従業員への支援
    (相談窓口の設置及び周知)

 【支給額】1企業1回のみ:60万円
※本助成金は、介護休業取得者がいることを要件とはしていません。

 

 今回の育児・介護休業法の改正と助成金の新設は、政府が一億総活躍社会の実現を目指して力を入れている表れだと言えます。企業にとって、社内の取組や制度を早めに見直していくことは、モラルの向上や、人材流出防止の観点からも、ますます重要になってくるのではないでしょうか。

 記事投稿日: 2016年06月14日
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