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社会保険労務士法人 筒井社労士事務所|福岡県大野城市の社労士事務所です。社会保険・労働保険の手続代行、就業規則作成、助成金申請、給与計算、労務トラブル対応

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高年齢者雇用最適賃金シミュレーション


〜 公的給付(老齢年金、雇用保険高齢給付)を活用した給与の設定を考えましょう! 〜

 平成16年の高齢者雇用安定法の改正によって、65歳までの雇用延長が段階的に義務付けられました。各企業は定年年齢の引き上げ継続雇用制度の創設定年の廃止などの対応を行う必要があります。

 いずれの対応をとるにせよ、今後は60歳前半の方々のモチベーションを維持しつつ、貴重な戦力として働いてもらうことが企業にとっても不可欠となるでしょう。そのための施策として、

    ☆厚生年金の在職老齢年金制度
    ☆雇用保険の高年齢雇用継続給付制度

 をうまく活用することで、

   『企業の負担を出来るだけ少なくしたい』
   『本人の手取り額を考慮した給与設計をしたい』

 といった要望に合わせて賃金を設計することが可能となります。

 60歳以降も継続して働かれる社員の為に、公的年金をうまく活用することによって、会社の人件費を大幅に押さえることが可能となるだけでなく、その分を若手社員のために回すこともできます。企業全体にとっても有益な方法ですので、ぜひご活用ください。

 以下、ポイントとなる二つの制度についてご説明します。

高年齢雇用継続給付

 雇用保険に加入している方が60歳に達し、一定の要件を満たすと、『高年齢雇用継続給付』を受けることができます。これには、基本手当を受給しない方を対象とする「高年齢雇用継続給付金」と、基本手当を受給し再就職した方を対象とする「高年齢再就職給付金」があり、基本的には賃金が低下した被保険者の方に給付金が支給される制度となっています。

 支給には、以下の要件を満たすことが必要です。

   @60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
   A被保険者であった期間が5年以上あること。
   B原則として60歳時点と比較して、60歳以後の賃金(みなし賃金を含む)が60歳時点の75%未満となっていること。
   C高年齢再就職給付金については、再就職の前日に基本手当の残日数が100日以上あること。


 また、給付金の額は、60歳以後の各月に支払われた賃金の原則15%となっています。
 (※賃金の低下率によって、15%を上限にして支給率も変動します

 さらに、高年齢雇用継続給付を受給すると、その支給率に応じて標準報酬月額の6%〜0.1%相当額の在職老齢年金が減額されます。

 ここまでをまとめると、以下のようなイメージになります。

高年齢雇用継続給付の支給イメージ 高年齢雇用継続給付の支給イメージ


在職老齢年金と高年齢雇用継続給付の支給イメージ


在職老齢年金

 厚生年金の被保険者である在職中の者に支給される老齢厚生年金は、一定の要件に該当する場合、減額が行われます。これを『在職老齢年金』といいます。(ただし、昭和12年4月1日以前生まれの人は減額の対象になりません。)

 老齢年金の制度は、60歳前半(60〜64歳)と、60歳後半以降(65歳〜)で計算方法や取扱いが大きく異なります。ここで、在職老齢年金の説明に入る前に、老齢年金の支給開始年齢の引き上げについて触れておきましょう。

高年齢雇用継続給付の支給イメージ 年金支給開始年齢の段階的引き上げ


年金支給開始年齢の段階的引き上げ
出所 日本年金機構 リーフレット

 60歳前半(60〜64歳)に支給される老齢年金のことを、特別支給の老齢厚生年金といいます。内訳は以下のような2階建ての仕組みになっています。

  ・1階部分は、国民年金の老齢基礎年金に相当する定額部分
  ・2階部分は、厚生年金の老齢厚生年金に相当する報酬比例部分

 そして、これらのうち定額部分から生年月日に応じて徐々に支給開始年齢が引き上げられており、最終的には特別支給の老齢厚生年金はなくなって、65歳から年金が支給されるようになります。

 60歳前半(60〜64歳)と、60歳後半以降(65歳〜)の在職老齢年金の計算方法は、以下の通りとなります。

60歳代前半の在職老齢年金の仕組み

 : 『総報酬月額相当額』
      →(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額×1/12)
 : 『年金月額』
      →(特別支給の老齢厚生年金(※))×1/12
          (※)基金代行部分を含み、加給年金を除きます

総報酬月額と年金月額 支給停止額
) ≦ 28万円 全額支給
≦ 46万円 ≦ 28万円 − 28万円 ) × 1/2
> 28万円 × 1/2
> 46万円 ≦ 28万円 ( 46万円 + − 28万円 ) × 1/2 + ( − 46万円 )
> 28万円 46万円 × 1/2 + ( − 46万円 )

(※)上記の計算式は平成23年4月1日現在のものです。

60歳代後半の在職老齢年金の仕組み

 : 『総報酬月額相当額』
      →(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額×1/12)
 : 『年金月額』
      →(老齢厚生年金(※))×1/12
          (※)基金代行部分を含み、経過的加算額を除きます

総報酬月額と年金月額 支給停止額
) ≦ 46万円 全額支給
) > 46万円 − 46万円 ) × 1/2

(※)上記の計算式は平成23年4月1日現在のものです。


給与設計

 上記の通り、60歳以降の給与、高年齢雇用継続給付制度、在職老齢年金制度の3つを組み合わせた制度は非常に複雑なものとなっています。設定額によっては、給与を増やすと本人の手取り額が減少してしまうという、”逆転現象”も発生してしまいます。

 当事務所では、こうした不合理を避け、手取り額が最高となるような賃金設定のお手伝いをいたします。

  注意点
  60歳以降の給与を減額設定した場合、以下のような影響が考えられますので注意が必要です。

  ○ 私傷病欠勤時に支払われる傷病手当金等の単価が下がる(標準報酬月額が下がるため)
  ○ 業務災害(通勤災害を含む)により欠勤したときの補償給付額等が下がる
  ○ 標準報酬月額の低下に伴い、減額しなかった場合に比べ将来の年金額が低い可能性がある


 また、賃金設計は限られた条件の基に行いますので、手取り額等を補償するものではありません。なお、給与額設定の際には、その職務内容等も総合的に勘案の上ご検討頂きますようお願い致します。

 詳しくは当事務所まで、お気軽にお問い合わせください。

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